【奨学金破産】

日本学生支援機構(旧「日本育英会」)の奨学金を返せず自己破産するケースが、借りた本人だけでなく親族にも広がっているというニュースが話題になっています。
過去5年間の自己破産は延べ1万5千人で、半分近くが親や親戚らが保証人になっているものでした。
奨学金にからむ自己破産は2016年度までの5年間で延べ1万5338人。
内訳は本人が8108人(うち保証機関分が475人)で、連帯保証人と保証人が計7230人と圧倒的に多く、国内の自己破産が減る中、奨学金関連は3千人前後が続いており、2016年度は最多の3451人と5年前より13%増えています。

【人的保証と機関保証】

日本学生支援機構から進学時に奨学金の貸与を受ける際、担保や審査がない代わりに、第三者の保証をつけることとなっています。
借りる人は連帯保証人(父母のどちらか)と保証人(4親等以内)を立てる「人的保証」か、保証機関に保証料を払う「機関保証」を選びます。
機関保証の場合、保証料が奨学金から差し引かれます。保証料は貸与月額の6%から7%ほどになり、決して安くありません。
そのためか、人的保証を選択する学生が多い状況です。

【自己破産増の背景】

奨学金にからむ自己破産の背景には、学費の値上がりや非正規雇用の広がりに加え、日本学生支援機構が回収を強めた影響もあるようです。
本人らに返還を促すよう同機構が裁判所に申し立てた件数は、この5年間で約4万5千件にのぼり、2016年度は9106件と2004年度の44倍にもなります。
給与の差し押さえなど強制執行に至ったのは2016年度には387件。2004年度は1件のみでした。

【破産すると】

自己破産は、借金を返せる見込みがないと裁判所に認められれば返済を免れる手続きです。
その代わりに財産を処分され、住所・氏名が官報に載る。一定期間の借り入れが制限されるなどの不利益もあります。
本人が破産するとき、機関保証を選んでいた場合は保証機関が日本学生支援機構に代わりに返済を行い事案は終了します。
しかし、人的保証を選んでいた場合は、その保証人に未払い分の請求がされることになります。

【卒業時点の負債総額】

日本学生支援機構の調査によると、大学でかかる1年間の費用は「私大・自宅生」でも約177万円。
「私大・自宅外」で約239万円、「国公立・自宅生」でも約109万円ほどになります。
すべて奨学金で賄った場合、これが4年間積み上がることになるため卒業時点で数百万円から1000万円近くの借金を背負っていることになります。
仮に総額で800万円、返済期間20年とした場合、毎月3万6千円ほどの返済が途切れることなく必要となります。

【保証人への求償が起きると】

本人が返済できず破産等をすると、先に述べたとおり保証人への求償が行われますが、これだけ多額の債務となると、保証人も返済できないことが往々にして起こります。
このため、保証人も一緒に破産せざるを得ないという厳しい状況が生じてしまうことがあります。

【奨学金破産による不幸の連鎖を防ぐために】

奨学金破産で親族を巻き込むようなケースを防ぐにはどうすればよいでしょうか。
学費をかからないようにしたり安くしたりする、貸与奨学金から給付奨学金を制度を切り替えるということが国レベルでは議論されていますが、予算の問題などで充実まではまだ程遠いというのが実情です。

【わんるーふで異世代ホームシェア】

わんるーふでは、そこに加えて、自宅外学生であれば住宅にかかる生活コストを下げるという方法を、提案しています。
厳しい経済状況でも進学しようとする若者と、異世代ホームシェアのためのお部屋を提供することで応援していただける高齢者の方の双方をマッチングすることで、この社会の中で、民間社会保障ともいえる仕組み作りを目指しています。

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