【学費は2031年度には今の倍近くに】
2015年12月1日の発表のものになりますが、文部科学省が2031年度の国立大学授業料を試算を公表しました。
現在は年間約54万円ですが、2031年度には93万円程度に上がるという試算です。
今から13年後ですから、2018年現在で4歳、5歳ぐらいのお子様の進学のタイミングにあたります。
【減り続ける運営交付金】
大学の収入の核となる国の運営費交付金ですが、財務省はこれを2031年度までに1割ほど(約1000億円)削減する方針を出しており、大学の数が減らなければ授業料で減収分を賄う必要性があるためということのようです。
【学生や家庭の負担はどうなる】
年間授業料の値上がりは、そのまま学生やそれをささえる世帯の負担の増加につながります。
年間で40万円となると、標準的な就学期間の4年をかけて160万円の増加になります。
一般的に国公立大学の学生の場合、4年間にかかる費用としては自宅学生の場合で約500万円、自宅外の下宿の学生の場合は約1000万円といわれています。
ここにさらに160万円が上乗せされると、2割弱から3割ほどのコスト増となりそうです。
生まれた直後から積み立てようと思うと、毎月7000円の積立増が必要、という計算になるとわかりやすいでしょうか。
【国立大学の授業料の増額には賛成の意見も】
例えば、教育経済学者として著名な中室牧子先生などは、
「国立大学は、家計が裕福ではないが、志のある優秀な生徒がいくというイメージがあるかもしれませんが、
現実には日本の大学生の親の所得水準は、国立大学のほうが私立大学よりも高いのです。
東大生の親の平均収入は1千万円を超えており、早慶よりも高い。
これは、国の税金を使って、所得の高い家計に補助金を出しているということにほかならず、この状態は是正されるべきです。
その代り、学費を高くし、大学の収入が増加した分で、学力があるが家計が苦しくて大学に行けないという生徒の学費等の負担をゼロにし、
格差を解消するような方向で資源配分を行うべきではないでしょうか。」
という意見を表明されています。
【授業料増額の是非】
文部科学省の授業料増の試算が国公立大学の学費の減免枠を現在の水準で維持した試算かどうかはわかりませんが、
仮にそうだったとした場合、中室先生のいうような減免枠の拡充をセットとすると、授業料増額の幅はもっと大きくなる可能性もあります。
こうなったとき、一番困るのは減免枠を受けれないぎりぎりのラインの世帯になります。
いわゆる相対的貧困層と同じ世帯だけ、中間所得以下の世帯が存在しており、逆転現象も生じかねないのではないでしょうか。
【公教育予算の増加という解】
日本の公教育に関する予算はOECD諸国の中でもかなり低いレベルで、民間の負担(授業料の徴収等)で賄っている部分が大きいとされています。
大学教育は義務教育ではないからという理由で予算の割り当てを減らしていく政策を日本では続けていますが、
人口減少とグローバル化が止まらない局面においては、若者一人一人の価値をあげていく施策が、長期的に日本という国の価値をあげていくことにつながると考えられます。
しかし、依然そういった社会的議論や価値観は成熟しているとはいえず、日本における高等教育の在り方はまだまだ迷走しそうだといえます。
【わんるーふで異世代ホームシェア】
わんるーふでは、経済的な理由を抱える自宅外学生に、一般的な賃貸のワンルームマンションやアパート、あるいはシェアハウス(戸建てや分譲住宅を知人など数名で一緒に借りる形態)ではなく、高齢者宅の空きスペースを使って異世代で同居してもらうという、一つの共助の仕組みを提案しています。
厳しい経済状況でも進学しようとする若者と、異世代ホームシェアのためのお部屋を提供することで応援していただける高齢者の方の双方をマッチングすることで、この社会の中で、民間社会保障ともいえる仕組み作りを目指しています。格差を乗り越えようとがんばる人たちに一定の貢献をするものと考えています。
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