【人的資本論】
教育が経済社会に対して果たす役割の一つとして「人的資本論」からの説明があります。
人的資本論では、教育を通じて個々人は知識やスキルを身につけ生産性を向上させ、そして、向上した生産性によって、より高い賃金を得ることが可能となる。そしてこれを足し合わせたものが経済成長となる、と説明します。
つまり、人的資本論に基づけば、高等教育までの過程で、いかに生産性向上につながる知識やスキルを教育が提供できるかが重要となります。
【スクリーニング仮説】
他方で、人的資本論と対立する理論に、「スクリーニング仮説」というものがあります。
スクリーニング仮説では、教育自体に特に意味はなく(生産性向上につながる知識やスキルを提供しない)、生産性の高い者がより高い学歴を得るのは生産性の低い者より容易なため、教育水準がその人物の持つ生産性のシグナルとなり、雇用者はそのシグナルに応じて高い賃金を支払う、というものです。
つまり、スクリーニング仮説に基づけば、高等教育までの過程は、生産性の高い者をいかに効率的にふるいにかけることができるかが重要となります。
【どちらが正しいのか】
人的資本論とスクリーニング仮説はどちらが正しいのでしょうか。
両者の関係を、教育の質とアクセス(量)の関係から読み解くと、国民の平均教育年数が伸びても経済成長にはつながらないが、国民の学力、すなわち教育の質向上は経済成長につながることがわかっています。
つまり、教育の質が低ければスクリーニング仮説が主張するように教育は無意味なもの、ないしは能力に応じて人材を仕分けしていくトラッキング(追跡)の役割を果たすに過ぎないが、質が高ければ人的資本論が主張するように教育は経済成長や個々人の所得向上につながるものであると理解することができます。
したがって、人的資本論とスクリーニング仮説はどちらが正しいということは問題にはならず、社会経済をより一層発展させようとするのであれば、各教育の現場においてできるだけ質のいい教育を施すこと、そして国や公共団体が現場を後押しすることが必要であると考えられます。
【異世代ホームシェアと教育の質】
異世代ホームシェアの仕組み自体は、教育の質を高めるものではないものの、マッチングしたペアによっては、高齢者と学生の専門性が一致することもあり、日々の会話の中で学生の学びに役立つ視点や考え方を高齢者から得るといったこともあるようです。
また、家族ではない異世代との対話そのものが長い人生におけるコミュニケーション力の習得の場となり、大学等での生活や、卒業後の進路先ででも役に立つことがあります。
【わんるーふで異世代ホームシェア】
異世代ホームシェアは、空き部屋を抱える高齢者宅で、自宅外学生となる人たちが家賃無料ないし非常に低廉な対価で一緒に住まう居住形態です。同居することで、いざというときには支えになってくれることで、高齢者にとっては暮らしへの安心感が増すと考えられています。
他方で、自宅外学生にとっては毎月負担する家賃部分を大きく削減し、毎月の生活コストを最大3割ほど軽減する効果が見込まれます。
わんるーふは、厳しい経済状況でも進学しようとする若者と、異世代ホームシェアのためのお部屋を提供することで応援していただける高齢者の方の双方をマッチングすることで、 この社会の中で、民間社会保障ともいえる仕組み作りを目指しています。
ご興味がある方は、わんるーふまで是非お問合わせください。