若い世代の貧困化による大学進学の非自由化と、高齢者の社会的孤立という現代の日本が抱えている社会問題を解決することができる方法として、異世代ホームシェアという新しい社会システムが近年注目を集めています。異世代ホームシェアとは、主に1人暮らしの 高齢者と大学生などの若者が１つの住居をシェアすることによって、若者側か経済的な負担を減らすことができ、経済的に余裕がなくても大学等に通える条件を整えることができる一方、高齢者側は話し相手を得るなどで孤独を感じることを減らす効果も見込まれます。しかし、この異世代ホームシェアにはこのようなメリットはもちろんあるのですが、昔の学生下宿や書生に近いスタイルなのでまったく馴染みがないものではないとはいえ、異世代ホームシェア自体はまだそれほど知られた仕組みではなく、他人同士が同居するという点でやはり不安や懸念はあるでしょう。
今回は社会問題を解決することができる可能性を秘めた異世代ホームシェアへの懸念をいくつか取り上げ、その対策の検討を通じて、異世代ホームシェアがより一般的になるための一助となればと考えます。
【異世代ホームシェアに対する不安や懸念について】
異世代ホームシェアに対する不安や懸念の最も大きな部分としては、世代間のギャップによって生じるトラブルではないでしょうか。例えば、高齢者は比較的規則正しい生活を送り、 就寝時間も早い傾向にある。一方で、学生などは飲み会があったり、友達を遊んだり、サークルがあったりなど、深夜まで家に帰らないといった高齢者に比べると生活習慣も不規則になっていまいがちです。このような生活習慣の違いは共に暮らすうえではトラブルの原因となり、 高齢者が寝ている時間帯であるにもかかわらず、若者が深夜帰宅してしまい、高齢者が物音を気にしてしまうなどといったこともあるでしょう。
【異世代ホームシェアに対する不安や懸念への対策】
では、これらの不安や懸念を解決するためにはどのような方法をとるべきでしょうか。考えられる主な策としては、ホームシェアを始める前のマッチングの際に、お互いの生活習慣や考え方をあわせるのが重要です。世代が異なっていても問題になりそうなポイントはある程度類型化されているので、すり合わせは可能です。 細かい点についても、お互いにホームシェアを始める前に生活習慣や好み、こういった相手はNGなどの条件を出したり、 事前に面談などを経ることによって互いの考え方を合わせていくことによってスムーズにホームシェアを開始することができるようになります。 マッチングの際に十分にお互いの生活スタイルを尊重できる合意さえとれれば、このような不安や懸念が実際に生じる可能性はより抑えることができるでしょう。
【異世代ホームシェアによるペア解消率】
海外の事例では、５００組のペアのうち、ペアの相手を変更したことのある人たちは１０組以下、つまり２％以下です。最多で３回変えたという人もいますが、変更後はうまくいっているようです。トラブルが生じれば即ペア解消というわけではなく、トラブル自体が発生していないという指標ではもちろんありませんが、大小のトラブルは同居相手が家族でも生じることで、完全にゼロにするのは現実的ではありません。些細なトラブルやすれ違いもＮＧという方は、ゲスト、ホストいずれのケースでもそもそも利用しないことが考えられます。ただ、家族以外の誰かと同居し、様々な同居上の課題についてお互いを尊重してコミュニケーションを重ねて解決するというのは、若者にとってはなかなか得がたい経験になりますし、高齢者側からしてみると、成長していく彼らを見て感じられるという、異世代ホームシェアならではの醍醐味があるのではないでしょうか。
【異世代ホームシェアは完全に快適な生活というわけではない】
今回は異世代ホームシェアへの懸念とその予防、解決方法について書きましたが、異世代ホームシェアはやはり家族以外の方と同居という形になる以上、生活スタイルの相違という難しい面が生じることは否めません。この点を押さえた上での利用が進めばより深く世の中に広まって行き、この社会の仕組みの一部として機能するのではないかと考えます。
【わんるーふで異世代ホームシェア】
異世代ホームシェアは、空き部屋を抱える高齢者宅で、自宅外学生となる人たちが家賃無料ないし非常に低廉な対価で一緒に住まう居住形態です。
自宅外学生にとっては毎月負担する家賃部分を大きく削減し、毎月の生活コストを最大3割ほど軽減する効果が見込まれます。
わんるーふは、厳しい経済状況でも進学しようとする若者と、異世代ホームシェアのためのお部屋を提供することで応援していただける高齢者の方の双方をマッチングすることで、 この社会の中で、民間社会保障ともいえる仕組み作りを目指しています。
ご興味がある方は、わんるーふまで是非お問合わせください。